2008年08月27日
変わりゆくお盆の風習=和歌山県田辺市
今年は精霊舟の数が少なかった。地区で一年間に亡くなった方が少なくて精霊舟の数が減った訳ではない。今年から風習が少し変わり始めたのだ。
精霊舟は船着場で漁船に乗せて沖まで運び、沖で海面に降ろして流れに任せて流す。海流の関係で大体どこに流れ着くか予測がつくので、8月16日の早朝、地域の漁師の人たちが漂着先に精霊舟を回収に行く。但し、全て回収できないこともある。一部が壊れてゴミになったり、どこか別の場所に流れて行ったりする場合もあるからだ。
近年、漂着先の住民の方たちから、「精霊舟は海を汚すし、網にかかって困るから止めて欲しい」と苦情が出ていたらしい。漁業関係者は、海外から安い魚が輸入されてくるし、不漁があるし、大漁でも魚が高く売れなかったりするし、燃料が高くなっているし、今は大変な時代だ。ゴミ問題や漂着先の漁業関係者の方々のことを考え、今年から海に流さない精霊舟を作って霊をお送りすることにしたという。
8月15日の夜は、今まで通りの精霊舟を海に流す新仏の家と、共同で作った精霊舟で弔いをして、海面に降ろした後引き上げて、近くで燃やす新仏の家があった。そういう訳で、今年は夜の海に流す精霊舟の数が少なかったのだ。
風習を守るのがいいのか、時代の流れに合わせて形を変えるのがいいのか、考え方が分かれているが、来年以降、新仏の家で精霊舟を作って海に流す家が少なくなっていくような気がする。共同で精霊舟を作って弔いをする方式は簡略化できて経済的かもしれないが、祖先や帰ってきた霊に対する思いは、今までと変わってはいけない。【了】
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新仏精霊舟動画
【写真】今年からできた共同の新仏精霊舟。この精霊舟は、海岸に作った特設会場で弔いをして、一度、海に浮かべて霊を送った後、引き上げてみんなで燃やした。(撮影:葦乃原 光晴、8月15日)

